ライトノベル リリアとトレイズ レビュー

タイトル リリアとトレイズT
著者 時雨沢恵一
イラスト 黒星紅白
出版 電撃
発売日 2005年3月


執筆者:jade 評価:
時雨沢ファンならタイトルで察しが付くでしょう。その通り、この物語は「アリソン」の続編です。
今回の主役はヴィルとアリソンの娘リリアとベネディクトとフィリアの息子トレイズの二人。夏休みに入ってまもなくアリソンが仕事で家を空けることになったため、残されたリリアは渋々トレイズと旅行に行くことになり、二人の冒険が始まります。

旅先で次々とトラブルに巻き込まれたり、森に迷い込んで民家に助けを求めたり、さらには親が指揮する作戦に巻き込まれたりするなど、終始前作の展開をなぞっています。
恋愛面に関しては、前作では気の強いアリソンがヴィルに想いを伝えようと空回りし続ける姿が微笑ましくて二人の恋路が気になったのに対して、今回は目立たないトレイズの方が一方的にリリアに恋心を抱いているというありきたりな設定のためさほど感情移入することが出来ません。そのうえ、トレイズにヴィルほどの魅力が感じられないとあっては、「アリソン」の劣化コピーという印象を受けざるを得ませんね。
とはいえ、相変わらず人物描写や物語の構成といった著者の文章力は高いレベルにあるので安心して読めるのも確か。時雨沢作品が好きな人ならそれなりに楽しめることでしょう。

この巻は人物紹介と物語の背景の描写を中心に描いた前編に過ぎず、この時点でこの物語を評価するのは早計と言うもの。後編にあっと驚く展開が用意してある可能性も十分考えられます。それに例え代わり映えしない展開であっても、当時と立場が入れ変わったヴィルが事件を解決するためにどのように奮闘するのか、危機的状況下においてトレイズがリリアに対していいところを見せることが出来るのか──などなど、楽しみ方はいくらでもありますからね。次巻は5月発売とのことなので期待して待ちたいと思います。


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